「行政」「地域」「指定管理者」
三位一体の取り組みで、地元から愛される施設に

はだのクリーンセンター隣に建設された温浴施設「名水はだの富士見の湯」の指定管理者として、日本メックスが単独受注し、運営を始めたのが2017年10月のことです。オープンから半年がたち、「行政」「地域」「指定管理者」3つの視点で、「地元から愛される施設に」をテーマにお話を伺いました。(2018年4月24日取材)
行政秦野市 環境産業部 環境資源対策課

鈴木大二郎 課長代理(左)、田中翔 主事補(右)
――秦野市では「名水はだの富士見の湯」を指定管理者制度で公募、運営委託をされましたが、その経緯を教えてください。
鈴木様:「はだのクリーンセンター」設立にあたり、周辺自治会から利便施設の建設要望がありました。周辺自治会、秦野市伊勢原市環境衛生組合から成る検討委員会により、どういった種類の利便施設が適当かを検討した結果、「クリーンセンターの熱源を利用した温浴施設」の建設が決定しました。

はだのクリーンセンターと富士見の湯
――日本メックスが指定管理者に選ばれたポイントは何でしょうか?
田中様:今回はプロポーザル方式で選考されました。選考委員により各企業からの提案内容が吟味され、審査されたわけですが、企業としての安定性や財務状況の健全さも高く評価された点です。
――本日お越しいただいている鈴木様、田中様は「環境産業部 環境資源対策課」ということですが、どのような業務を担当される部署なのでしょうか?
鈴木様:ごみ処理行政の主幹となる部署です。資源化推進担当と業務管理担当に分かれており、ごみ収集・運搬、リサイクル、ごみの減量化など、ごみを取り巻くすべての業務を主に行っています。「名水はだの富士見の湯」は、「クリーンセンターの熱源を利用した利便施設」という位置づけのために、観光課ではなく、環境資源対策課の「クリーンセンター周辺整備担当」が窓口となっています。
ーー確かに、こういった温浴施設は観光課が担当されるイメージがありますよね。通常の業務とは違ったご苦労もあったと思うのですが、いかがですか?
田中様:そうですね。今回のプロジェクトで私たちの主な業務としては、①県、保健所、議員、地権者などとの調整 ②議会への議案上程 ③館内施設の什器・備品選定と購入 ④建設工事の工程管理がありました。
まず民間企業と違い、何かを決定する際には必ず議会を通すことになります。ここで時間がかかります。
また、保健所含め細かい修正が8-9月に集中し、天候の影響もあり、建設工事も遅れて、オープンに間に合うかとはらはらしました。10月1日に無事竣工式が行われて、評判も良かったと聞いた時には、心底ほっとしました。
また、経験のない業務という面では、購買に苦労しました。今回はロッカーの色味や材質、ソファーなどの家具や什器の統一性と、カウンターやベンチに秦野市の木材を使用し、地域に還元する施設であるということを意識して選びました。

ベンチに地元の木材を使用
ーーインテリアコーディネーターさんが選んだのかと思いました! なるほど思い入れ深い施設ですね。今も施設の改修などで親身にご対応いただいていると聞いています。今後、より地域の方から愛される施設となるために、メックスへの要望、アドバイスをお願いいたします。
鈴木様:まずは集客を増やすため、多彩なイベントやキャンペーンを打ってほしいですね。市民だけではなく、登山やハイキングで訪れる観光客にも愛される施設になってほしいと思います。山コンやミニハイキングといった企画で「山登りをして、疲れた体を名水はだの富士見の湯でゆっくりと癒してもらう。」そういうイベントをどんどん行ってください。
田中様:知らない土地で、知らない人たちを相手に商売するのは大変だと思いますが、秦野市としては10年、20年の長いスパンでメックスさんに頑張ってほしいと思っています。ビルメンテナンスや他の業務で経験した知識やノウハウを発揮して、良いところを前面に出して成功してほしいです。市民へのイベント告知などは「広報 はだの」で行えますし、一緒にこの施設を盛り立てていきましょう。
ーーありがとうございました。
日本メックス株式会社
ーーオープンしてから6か月ですが、これまで試行錯誤されてきたと思います。具体的にどんなことをされましたか?
館長:まず着手したのは、交通の利便性を上げることですね。立地が駅から離れていますし、アクセスの利便性を良くすることから始めました。無料送迎バスの運行ルートを見直したり、時刻表の改正も二度行っているんです。秦野駅から歩くと20分以上かかりますから、秦野駅からいかにスムーズにお越しいただけるかを優先して考えました。

「広報 はだの」と秦野市の観光パンフレット
副館長:お車の方には、まず看板の設置をしました。大きいものを4-5カ所設置しましたが、まだ足りないと感じています。インターチェンジやハイキングコースの登山口でもチラシを配って、まずは認知度を上げたいと思っています。この施設はクリーンセンターの隣ということもあり、大通りから一本入ったところにあります。今となっては笑い話ですが一か月探してやっとたどり着いた、という女性三人組の方に「なかなか見つからない、謎の施設」と言われたこともあります。
ーー行政、地域とはどんな連携をしていますか?
館長:まず、「広報 はだの」にオープニング時に特集していただきました。また、秦野市で作っているガイドブックや、2018年度分からですが、ハイキングマップなどにも載せてもらえるそうです。
副館長:公共施設や市で開催しているイベントの会場でも、チラシやパンフレットを置いていただいています。それと、大晦日から元旦にかけて市長主催で行われる「初日の出の会」は、施設の裏の弘法山公園で行われるので、お正月は7時に施設をオープンさせたところ、たくさんの市民の方が帰りがけに立ち寄ってくださいました。4月の桜まつりも、観光太鼓や社交ダンスなど、団体の窓口の方を紹介していただき、地元を意識したお祭りにすることができました。今後も協力してイベントを企画したり、参加していきたいですね。
ーー秦野市の観光資源を意識した集客施策はありますか?
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館長:毎週土曜日、日曜日に市内農家の方が丹精込めて作った「朝どれ野菜」と「花き」の販売を始めました。いちごやカーネーション、ホウレン草、トマト。珍しいところでは生の高菜や生の西洋わさび(ホースラディッシュ)など、名水に恵まれた秦野市ならではの新鮮な野菜が手に入ります。名水といえば、醸造中にモーツァルトの音楽を聞かせて醸造した「モーツァルトシリーズ」で有名な
(有)金井酒造(神奈川県秦野市堀山下182-1 ) さんの、「白笹つづみ」シリーズの販売を開始しました。個人的には原料米に五百万石を使った特別純米酒がおススメです。 -
副館長:食堂のメニューでも、富士山や地の野菜を取り入れた新メニューができました。今一番人気なのは、春を感じさせる桜色がきれいな「桜そばと春野菜の天ぷら(750円)」わさび・ねぎ・桜漬の薬味が添えられていて、天ぷらは揚げたてサクサク。その日によって野菜の種類が変わるので、何が出てくるかはお楽しみです。他にも、はだの野菜カレー(830円)、天みぞれそば(750円)、富士見担担麺(850円)も人気です。ぜひお試しください。
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富士見担担麺
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桜そばと春野菜の天ぷら
ーー今後の展望、アイデアを教えてください。
館長:約半年かけて試行錯誤してきた結果を、5月のイベントカレンダーにはギュッと詰め込んでみました。母の日イベントではカーネーションをプレゼントします。
今後は秦野市の杉やヒノキの間伐材を使った入浴香材などを浮かべて、森林浴ならぬ森林の香りで癒されて欲しいですね。
これからも皆さまに愛される施設となるよう、一歩一歩努力してまいりますので、ハイキングや登山の後にはぜひお立ち寄りください。

露天風呂
ーー秦野市自慢を教えてください。
秦野市の魅力は表丹沢の「山」を抜きに語れません。本格的な登山ができる高山からハイキングに適した低山まで、経験や体力に応じたコースがたくさん用意されています。
子どもからお年寄りまで、どなたでも自然に触れ合い、美味しい空気と名水でリフレッシュし、帰りにはちょっと一風呂浴びて楽しむ・・・というスタイルを、秦野市では推奨しています。
4月は秦野丹沢まつりで山開きが行われ、5月~6月は県立秦野戸川公園の紫陽花が満開をむかえます。
新宿から小田急で1時間ほどの距離で、週末のショートトリップにぴったりです。ぜひ秦野市にお越しください。
秦野市広報課 小野塚由紀夫課長

丹沢まつり 山開き
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6月戸川公園 満開の紫陽花
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丹沢まつり アルプホルン